記憶と電気とNeuromodulationと

  • 神経系は、神経細胞呼ばれる細胞集団が構成する系
  • その特徴は、シナプスと呼ばれる、細胞1個と細胞1個との間の情報伝達デバイスがあること
  • シナプスを介した情報伝達により、あるときは細胞の電気生理学的なON/OFFが伝えられ、あるときは、細胞の状態変化が引き起こされる
  • 前者の電気生理学的な情報伝達が、神経学的には古くから知られているが、神経伝達物質が膜受容体を介して細胞の発現状態を変えることに相当する後者(neuromodulation)もあり、脳幹のモノアミンシステムなどはこれに相当するらしい
  • このように考えると、神経系は、情報伝達を空間的に制御するために、シナプスという特別な仕組みを持っている系であって、あるときは素早い電気を、あるときはゆっくりとした液性因子反応を用いているとも言い換えられる
  • 神経系は、あるときは全身の骨格筋を、あるときは中枢神経外内臓器を、あるときは(高等生物に特化した?)精神活動を統べている
  • 骨格筋は「運動」という時空間微細表現を担っているので、その制御のためには、時間をコントロールするべく電気生理的な仕組みが仕事をしている。大脳皮質の運動野と末梢の運動神経とを基本パーツとし、それを協調制御する小脳・脳幹とが、時間的に制御された手続記憶を担っているのだろう。そういう意味では、運動の手続き記憶とは、電気生理学的ネットワークの制御機構ということになる
  • 内臓器はいろいろなものがあり、精緻な分業体制を敷いているが、基本的には1つの個体のための状態管理である。それは交感神経系 vs. 副交感神経系の自律神経系によって情報的につながっている。こちらの神経情報伝達制御は、よりゆっくりした液性反応に近い。neuromodulationと同様の性質も多いように思われる。骨格筋の手続記憶がneuromodulationより実現されていることを考えると、内臓器全体がうまく強調しているという、その全体の仕組み自体も一種の手続記憶(非陳述記憶)であり、発生の段階で組み上げられるプログラムされた手続記憶のようなものだろか
  • 骨格筋群でもなく、内臓器群でもない、のこりの仕組みは、情動・ムード・社会性などに関わることだろうか。それは中枢神経系の専売特許で、それが観測可能なのは、筋などの活動となにがしかリンクしているからだろか。情動・ムードなどが脳幹と結びついていることを思うと、中枢神経系全体がとりうる表現型集合のどのあたりに存在するかという、一種の手続記憶かもしれない
  • その中で、いわゆる「記憶~陳述記憶」が中枢神経系の手続記憶であって、「パターン」として存在しているのにも関わらず、「陳述記憶」には「述べる順序」が入れられるように思われるのは、どこかおかしいだろうか?陳述記憶がパターンではなくて「順序」を持っているのは、大脳皮質が整然とした神経細胞構造を持っているため、「パターン」ではあるが、順序を入れてその様子を述べることが可能(比較的可能)だから、だったりしないだろうか?この辺りは、ただの思い付き